1.クロノス

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日曜日、明日香は最寄りから5つ先の駅にやって来た。 改札の前で待っている直がこちらに気づく。 明日香は手を振って小走りで改札を出た。 「おはよう」 「斉籐くん、おはよう」 直は焦げ茶色のダッフルコートの下にジーンズ。 自分は紺色のピーコートの下にチェックのスカートと黒のレギンス。 つい最近までろくに言葉を交わしたこともなかったのに、こうして私服で、しかも学校以外の場所で会っているのが、なんだか不思議な感じだ。 「あと二人見つかったんだな」 「うん。高校生なんだけどね。待ち合わせ時間と場所は伝えてあるから、そろそろ来ると思う」 その言葉通り、明日香の1本後の電車で大輔達はやって来た。 ベージュ色のトレンチコートと黒のズボン姿の大輔。 そしてもう一人。 「明日香ちゃん、おはよう」 「おはよう、大輔くん」 長い黒髪をポニーテールに束ねたその人を、大輔は紹介してくれた。 「こちら、今日香のクラスメイトの宮本ゆかりさん。弓道部に所属しているんだ」 「初めまして」 スキニージーンズが良く似合うすらりとした体型。 ぴんと背筋が伸びた凛としたゆかりの立ち姿は、どこかお姉ちゃんに似た雰囲気、だと明日香は思う。
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