18人が本棚に入れています
本棚に追加
日曜日、明日香は最寄りから5つ先の駅にやって来た。
改札の前で待っている直がこちらに気づく。
明日香は手を振って小走りで改札を出た。
「おはよう」
「斉籐くん、おはよう」
直は焦げ茶色のダッフルコートの下にジーンズ。
自分は紺色のピーコートの下にチェックのスカートと黒のレギンス。
つい最近までろくに言葉を交わしたこともなかったのに、こうして私服で、しかも学校以外の場所で会っているのが、なんだか不思議な感じだ。
「あと二人見つかったんだな」
「うん。高校生なんだけどね。待ち合わせ時間と場所は伝えてあるから、そろそろ来ると思う」
その言葉通り、明日香の1本後の電車で大輔達はやって来た。
ベージュ色のトレンチコートと黒のズボン姿の大輔。
そしてもう一人。
「明日香ちゃん、おはよう」
「おはよう、大輔くん」
長い黒髪をポニーテールに束ねたその人を、大輔は紹介してくれた。
「こちら、今日香のクラスメイトの宮本ゆかりさん。弓道部に所属しているんだ」
「初めまして」
スキニージーンズが良く似合うすらりとした体型。
ぴんと背筋が伸びた凛としたゆかりの立ち姿は、どこかお姉ちゃんに似た雰囲気、だと明日香は思う。
最初のコメントを投稿しよう!