1.クロノス

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「初めまして。協力してくれてありがとうございます」 そう言って頭を下げると、ゆかりは優しく微笑む。 「今日香のためだもの、一緒に頑張ろうね」 「ところで明日香ちゃん、隣の彼は誰?」 大輔に促され、明日香は慌てて紹介する。 「あっ……ええと、私のクラスメイトの斉籐直くん」 「初めまして。ゲームに詳しい人間が必要だと聞いて、森さんに協力しています」 「俺たちもゲームに疎いから助かるよ。……これからよろしく」 大輔が差し出した右手を、直は握り返した。 「よろしくお願いします」 直を先頭に、4人は駅を出た。 なんでも、徒歩10分くらいの場所に“クロノス”をプレイ出来るカフェがあるらしい。 「着きました」 商業ビルの地下1階へと続く階段のすぐ横に、『Kronos Cafe』という大きな看板が掲げられている。 ロビーに足を踏み入れると、手前側に明るい雰囲気の受付とカフェスペースがあり、その奥には沢山の個室があった。 直はここの会員らしく、受付専用の端末に会員証をかざしている。明日香達も名前、生年月日、住所、連絡先を順番に打ち込んでいく。 受付が完了し、カフェスペースのレジで個室の鍵を受け取っている直の背中が、今の明日香にはなんだか頼もしく見えた。
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