張昌伝

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新野王、敗れる。 3. 新野王歆上言:「妖賊張昌、劉尼妄稱神聖,犬羊萬計,絳頭毛面,挑刀走戟,其鋒不可當。請台敕諸軍,三道救助。」於是劉喬率諸軍據汝南以禦賊,前將軍趙驤領精卒八千據宛,助平南將軍羊伊距守。昌遣其將軍黃林為大都督,率二萬人向豫州,前驅李宮欲掠取汝水居人,喬遣將軍李楊逆擊,大破之。林等東攻弋陽,太守梁桓嬰城固守。又遣其將馬武破武昌,害太守,昌自領其眾。西攻宛,破趙驤,害羊伊。進攻襄陽,害新野王歆。昌別率石冰東破江、揚二州,偽置守長。當時五州之境皆畏逼從逆。又遣其將陳貞、陳蘭、張甫等攻長沙、湘東、零陵諸郡。昌雖跨帶五州,樹立牧守,皆桀盜小人而無禁制,但以劫掠為務,人情漸離。 (訳) 新野王の司馬歆(しばきん)が上言した。 「妖賊の張昌と劉尼は妄りに神聖を称し 犬や羊の如き(輩)が万を数え (あか)い頭に毛面で、 刀を舞わせて戟を走らせ その鋒に当たる事は出来ません。 (当たるべきではありません?) どうか台には諸軍に勅語され 三道からのご救助をお願い申し上げます」 こうして、(豫州刺史)劉喬が 諸軍を率いて汝南に據って賊を(ふせ)ぎ、 前将軍の趙驤(ちょうじょう)が 精兵八千を統領して宛に據りて 平南将軍・羊伊(ようい)の防戦を補助した。 張昌はその将軍の黄林(こうりん)を大都督に任命し 二万人を率いさせて豫州へ向かわせ、 先鋒の李宮(りきゅう)が汝水に居する人々から 掠取を行うと、 劉喬の派遣した将軍の李楊が 逆撃してこれを大破した。 黄林らが東のかた弋陽(よくよう)を攻めると 太守の梁桓(りょうかん)は嬰城を固守した。 一方でその部将の馬武(ばぶ)武昌(ぶしょう)を破らせて太守を殺害すると 張昌自らがその部衆を領有した。 西のかた宛を攻めて 趙驤を破り、羊伊を殺害した。 襄陽へ進攻して新野王の司馬歆を殺害した。 張昌の別働隊の石冰(せきひょう)は 東の江・揚二州を破り、 非公式の守備隊長を置いた。 当時、五つの州の境界は 皆逼迫を畏れて逆賊に従っていた。 また、その部将の陳貞・陳蘭・張甫を 長沙・湘東・零陵といった 諸郡へ派遣した。 張昌は五州に跨って領有し 牧守を樹立していたと雖も、 みな、悪賢い盗っ人や小人であったため 禁制などは存在せず、ただ掠奪のみを 要務としている有様であり、 人々の心は漸次に(だんだん) (張昌から)離れていった。 (註釈) 張昌の大都督の黄林(こうりん)は 義陽(南陽)の黄氏で、 黄祖や黄忠の系列だったりして? でも黄忠って後継ぎいなかったんだっけ… 黄林は官軍に敗れたけれど 張昌が自分で兵を率いると負けない。 新野王と羊伊が防戦虚しく殺された。 組織の運営には疑問符が付くけど 戦闘はマジで強い。 平南将軍の羊伊は 羊祜伝に記述がありました。 羊祜の甥っ子ですな。 「暨弟伊,初為車騎賈充掾,後曆平南將軍、都督江北諸軍事,鎮宛,為張昌所殺,追贈鎮南將軍」 彼が鎮撫していた宛は もともと南陽郡に属していた。 張昌のホームとかなり近かったのは 不幸以外の何モノでもないわな…。 張昌は連戦連勝の勢いに乗り 各地に勝手に郡太守や州牧を置いたが 所詮は食い詰めものや蛮族の集まり。 経営は行き届かず、規律もなく 無秩序なる掠奪が展開され 阿鼻叫喚の声が谺するだけであった。 恃みであったはずの人望を失っては 滅亡秒読み段階ですね。 2022.5.27
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