おうち

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「おいで。」 かいぬしさんが ぼくをよぶ ぼくは ベランダから そとを見ているかいぬしさんのところへ向かった 「今日は良いお天気よ。アメ。」 アメ とは ぼくのなまえらしい ぼくは かいぬしさんの所へ のっそりとあるいた 「ほら。青い空に…アメの毛みたいに真っ白な雲。」 ぼくのカラダは お空にうかんでいるくもみたいに まっしろだった だから すこしでもよごれたら すぐに見つかってしまう まっしろで ふかふかな毛 それが ぼく 「でもね、外は怖いのよ、アメ。」 かいぬしさんは いつも 外 とやらのお話しをしてくれる 車がこわい 人がこわい 外はとにかくこわい かいぬしさんは、怖い ものしか言わないけれど、ぼくは 外のせかいに きょうみがあった ぼくは 生まれたときから このウチに すんでいる ぼくのおかあさんは ぼくが小さいころに しんでしまったらしい ぼくにとっても この かいぬしさんにとっても このウチはとても大きかったのだ
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