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案内された先には、予想とはまるっきり違うものがあった。
そこにあったのは、丸い、マンホールが壁についたかのような扉だったのだ。
似たようなイメージでいうと銀行の大金庫かもしれない。
高さ二メートルほどの楕円形の扉が設置されている。
他の部屋が豪奢ではあったが、一般的な形状をしているのに比べて、ここだけが異彩を放っていた。
「この奥です。最初にノックをしましたが返事はなく、この把手をガチャガチャやっても開く気配はありませんでした。そこで仕方なく自分たちは身体をぶつけて押し開けることにしました。梅崎がいうのには、鍵そのものはたいしたものではないはずなので強引にやれば開けられるということだったので」
「それは、あんたたち三人でか?」
「最初は田中も手伝ってくれていたのですが、扉のサイズの関係で最終的には自分と梅崎でやりました」
「で、扉が開いたと」
「はい。開けたと同時に凄い音がしました。内側に向けておもいっきりよく開いた扉が室内にあったものを弾き飛ばしてしまったので」
「なるほど。鍵が開いただけじゃなくて何かで支えられていたのか」
「……中を見ると、部屋の中央に男が倒れているのが見えました。流れた血で真っ赤で、明らかに死んでいるだろうとわかりました。自分は梅崎たちを残して、室内に入り、倒れている男が死んでいるのを確認しました。遺体はまだそのままなので、現認していただけると助かります」
そういって、巡査は室内に入り、僕らも続いた。
そして息を呑んだ。
「なんだ、こりゃあ……」
「うわ、おいおい」
「マジですか……」
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