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行動だって変だ。
これで警視庁から来たというのなら、どれだけ本庁は人手不足なんだよ、というレベルだった。
「……君はどうして私の手を掴んでいるんだい?」
「えっ」
いきなり僕は謎の変人に話しかけられた。
彼をここからどかそうと腕を持っていたからだろう。
自分がよくわからない奇行に及んで、僕たちに迷惑をかけていたというのに、青年はひどく不躾な視線を送ってきた。
いかにも、無礼な奴を見る目つきだった。
これにはさすがの温厚な僕だって腹が立つ。
「好きで掴んでいる訳ではありません! 勘違いしないでください! あなたの方こそ、勝手に捜査現場に入り込もうとしていたではないですか。ヘタをしたら公務執行妨害で逮捕されても仕方のない行動ですよ!」
手を離して、目の前の青年に対して正当な抗議を行った。
これは正しい公権力の行使だ。
だが、そんなことは一向に気にした様子も見せず、青年は僕の後ろばかりを見つめ続け、
「死骸、どうだったの? ホントに丸焼け? 魚の特徴は残っていた?」
と、死んだ被害者を冒涜するような発言をする。
頭に血が昇った。
「あんた、殺されて亡くなった被害者になんて言い草だ! しかも、死骸だと? 被害者を貶めるようなことを言うな!」
「……うーん、ここからだとよく見えないなあ。あとで検視に参加させてもらうか。あ、君、所轄の人? ちょっといいかな?」
僕の正論も熱血も思いっきりスルーされてしまった。
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