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警視庁の通用口を抜けて、僕らが地下へ続くエレベーターに向かうのを、さっきの受付の婦警さんが物凄い形相で見ていた。
何をしたら、あんな顔になるのだろう。
怖がっているのになぜか目が離せないみたいな。
「警視、注目されてますね」
「私はグッド・ルッキングガイだからね」
「叶姉妹でも警視はごめん被ると思いますよ」
ファビュラスじゃないから、あんたは。
まあ、マーベラスではあるだろうけど。
というか叶姉妹わかるんかい!?
「あの婦警に何かしたんですか?」
「いや、私は何もしていない。多分、私を尋ねてたまに変な奉仕種族や教信者がやってくるからだろうね。組織の顔とはいえ、受付の仕事は大変だ」
「……大概あなたの責任じゃないですか」
「それはない。管理室の部下のせいでもあるだろうね」
「部下の人がどんなに理不尽で不条理で名状し難くても警視ほどではないでしょうね」
「まあ、彼女たちが私に対してああゆう態度を取る意味も今回、ようやく判明したのだけれどね」
「?」
むしろ、これから僕が署の用事で本庁にやってきたときにどんな対応をされるのかの方が気になって仕方ないのだが。
今更距離を置いても仕方ないので黙ってついていく。
「む、帰ってきているようだね」
「ああ、部下の人ですか」
管理室の扉の隙間から灯りが漏れている。
さっき僕らが外出する時には電灯は消してきたから、誰かがいるのだろう。
管理室の人員は、降三世警視ともう一人の部下の二人らしいので、そっちの方だと別に推理しなくてもわかる。
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