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誘惑の先に
もっと速く…もっと速く走れ……!!!
足がもう限界に近いようだ。だからといってここで諦めるわけにもいかない。頑張れ頑張るのだ自分!!!なんとしてでも走り抜けるのだ…
よし、隙間があった。あそこを通れば………
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
「プシューーーーーーーーーーーーーーー」
……俺はもう駄目だな。なんだかんだいってとても幸せな人生を送ったじゃないか。家族ができ、毎日不自由ない暮らしをしてきた。やり残すことはもう無い………。
「あなた、またゴキブリがいたわ。本当に気持ち悪いわ。まったくあなたがだらしないからこうなのよ。」女は眉間にしわを寄せてスプレー缶を棚の上に置きながら言った。
「どの家でもこんなもんさ。そんなに気にすんなよ。」小汚い男はスナック菓子をボロボロこぼして言った。
………これだから人間は嫌いなんだ。人間のいわゆる『スナック菓子』のいうやつを今日の夜飯にと狩りに行ったのが間違いだった。
………あぁ、もう力尽きる……。
「あなた、責任もってこの死骸捨ててきてね。」
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