祝と呪

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「聞かなきゃよかった。そんなのはあいつに直接伝えてやってくれよ」 「はいお兄さん!毎日伝え合ってます!」 「そうか、わかった、谷川も蕎麦食っていけよ」 「お前のお兄さんじゃないって言わないんですね」 「……言うだけ無駄なのがわかったから。おめでとう、あいつと仲良くしてやってくれ」 「ごめーん!谷川君!谷川君のお蕎麦食べちゃった!」 「いいんだよ、瑚珠ちゃん!さあ、どっか開いてるとこにごはん食べに行くよ!」 「うん!!」 十人前の蕎麦は、どこか宇宙の彼方に消えてしまったらしい。 遠くから聞こえてきたのは除夜の鐘。 「あけましておめでとうございます!」 重なった瑚珠と谷川の声は軽やかだ。 谷川は今にもスキップをしそうな足取り。 「おめでとう。遅くなってしまってすまなかったね」 咲は温かいまなざしで二人を見守っている。 「おめでとう」 くるりと背を向けて、登は雑に小さく手を振った。 【完】 3adad0c7-e530-4c30-ad10-f0a9c74ff035
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