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聞き込み
コンコンコン
「はい」
ノックに応え、静かに開いたドアからのぞいた美しい青年の顔に、ローザは一瞬息を飲んだ。
街で上位の豪華ホテル『サン・スーシ・ウイーン』その1018号室をスコップランド警察のローザは訪ねていた。
「おやすみの所すみません。今お一人ですか?」
「彼女がベットに」
警察バッジを見た金髪の青年は、ドアを広げ部屋の方をさした。しかしドアから廊下の先の部屋を窺う事はできなかった。
「そうですか。すみません、ちょっと聞かせてください。不自然な音や声を聞いていませんか。違和感のある人物など」
「あー? さっき彼女と食事から戻ってきた時、エレベーター係の服装は他の従業員と違うねって話してたんですけど。それくらいかな」
「ありがとうございます! それは女性ですか男性ですか?」
「女性でした」
「この階で降りましたか?」
「は? いや、そのまま乗って降りて行きましたけど? え、何かあったんですか?」
「いえ。18歳の女性を探しているだけですので。ありがとうございました」
ドアを閉めてローザが去ってゆくのを確認してから青年は部屋へ戻った。床には長い髪のウィッグとスカートが脱ぎ捨ててあった。クイーンベッドに座ると、力なく横たわっているステラの頭を撫でて赤毛に指を絡めた。
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