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プロローグ 名もなき戦い
うまく回ってるように見える世界の裏側に、私たちみたいな日陰の中でしか生きられない人間がいる。
私たち日陰の民は自分の価値を守るため、存在意義を守るため、この世界のどこかで戦っている。
それは時に誰かの心をズタズタに切り裂き、殺してしまったり、誰かに恨まれ、責められたりするけれど──。
泥水を啜りながら、時に心や身体の一部を失いながら、誰に後ろ指をさされようとも、居場所を求めて惨めに図太く戦っている。その戦いを嘲笑う権利など誰にもない。
これは生きるための〝生戦(せいせん)〟。
すべての人類に許された幸せになる権利を守るための〝正戦(せいせん)〟。
──そう、世界の裏側に生きる私たちの名もなき〝聖戦(せいせん)〟。
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