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リョウ・ニッタ
August 16 199X
リョウはうつらうつらと車を走らせていた。
焼けて半ばむけかかっている肌に追い討ちをかけるように、この異国の太陽は力強くフロントガラスから差し込んでいた。
リョウはサングラスを直し、滲んだ汗を拭った。
次の分岐点を左に折れれば、目指すコテージまで道なりに進むだけでいいはず。
時差ぼけと疲労感に悩まされながらもハンドルを握る手に力を込める。
周囲は山並みと丘陵が広がり、まさにのどかな田舎といった風情だった。
近くに牧場があるはずなので、そこで道を聞くといった選択もあった。
そこまで無事辿り着けたら、の話だが。
今のままだといつ道ばたに突っ込んでもおかしくなかった。
昨夜遅くインドから帰国したばかりだというのに、こんな大移動をするというのは無謀だったかもしれない。
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