リョウ・ニッタ

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リョウは不愉快な記憶を追い払い、運転に集中しようとした。そして分岐点まで来たところで眉を寄せた。 道の表示がリョウの持っている地図と逆になっていたのだ。昨晩モーテルでリョウが受話器を片手に描いた地図には、左がコミンシティ、右がマックナイト牧場と描いてあった。 道ばたに打ち付けられた鉄製の案内板の矢印は、左がマックナイト牧場で右がコミンシティとなっていた。 カイルがこんな基本的なことを間違えるなんてあり得ない。 恐らく電話を受けた際に『right』と『left』を聞き間違えてしまったのだろう。 普段なら職業柄そんなことはあり得ないのだが、いつ倒れてもおかしくないような有り様でメモを取っていたのだから、仕方がないかもしれない。 リョウはハンドルを右へ切った。 しばらくすると舗装が消え、ゆるやかな傾斜が広がり、牧草地が見えてきた。 (道を間違えた!!)
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