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ことの顛末を聞き、ジャンはすぐに馬を走らせた。
心配なのはむしろ牛たちの方かもしれない。
サムことサマンサ・マックナイトはその年齢にしては強固な意思と、それを実行に移してしまえる知恵を備えていた。
(全く。誰に似たんだか)
これまで彼女が巻き起こした騒動を思い返しながら、愛馬マックナイトを走らせていると牧場の端のほうでミルキーウェイが草を食んでいる姿が見えた。
(今回はましな方か)
周囲に視線を走らせたジャンの思考が止まった。
中古の日本車が溝の近くで傾き、傍らには人が倒れていたのだ。
「ジャン叔父ちゃまっ!!」
駆けよって来たサムを抱き寄せ、ジャンは車へ近付いた。
横転しかけた車と牧草地を抉るブレーキ痕、そして姪の慌てた様子、ミルキーウェイの方を振り返ってジャンは大体のことを理解した。
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