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片時もじっとしていたことのないサムのことだから不安もあったが、車のドアを開けたところで振り返ると、サムはちょこんと女性の傍に座り様子を見ていた。
(いつもそうしてくれているといいんだが)
ひしゃげた車に頭を突っ込んでいると、聞き慣れた馬蹄の音が聞こえてきた。
「ボウ。ちょうどよかった。手伝ってくれ」
ロープを引っかけて馬と人力で何とか車体を起こす。
「よし。あとは大丈夫そうだからこれで彼女を運ぼう」
そのとき車の鍵が見当たらないことに気づいた。
電線をショートさせてエンジンをかけてもいいが、そこまでしたくなかった。
「ボウ。その辺りに鍵が転がってないか?」
車内も探してはみるが、一度横倒しになった車から小さな鍵を見つけ出すのは容易なことではなかった。
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