第五章

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 1  レーソスの計画通り、「スパイ役」をしていたディオンと、その「直属の上司」であるダーナンを、金物屋の地下に軟禁し。これで、王宮の城に忍び込む計画について、新勢力側に知る者はいなくなった。後は、予め打ち合わせしていたように、新勢力の兵たちが「慰労会」をしているマクリルの店で、陽動作戦として「ちょっとした騒ぎ」を起こしてもらい。そのタイミングを見計らって、予定通りに隠し通路を通り、バロールのいる「オーブの間」に向かう。    レーソスがまりんたちに説明した「新勢力打倒計画」を、実行する当日となり。エーディンもダクタも、朝から緊張した面持ちになっていた。そんな彼らの顔を見ているだけで、まりんも胸が張り裂けそうなくらいに、緊張感が高まっていた。  うー、あたしが緊張しても仕方ないんだけど、いえ、あたしも少しは緊張して、ピリッとした心境になった方がいいのかな。ほんとに「いよいよ」だものね、ラスボスのところに行くんだもんね……!  そこに、アリアンたちと打ち合わせをしていたらしい、レーソスが戻ってきた。まりんたちは立ちあがり、一斉にレーソスに注目した。 「いま、アリアンどのと最終確認をしてきた。陽動作戦に関わる者たちに、特に異常はない。急な病気やケガなどで、その役目が出来なくなっては困るからな。予定通り、今夜。我々は新勢力の(かしら)、バロールの元に向かう」  もとより「そのつもり」でいたはずなのだが、レーソスの口から改めて、はっきりとそう告げられ。まりんだけでなく、エーディンもダクタも、自然と「気を付け」のような姿勢になっていた。いつもなら、皆のそんな緊張をほぐす言葉をかけたりするレーソスだったが、この時は違った。レーソス自身も「遂にここまで来た」という、胸の奥から突き上げるような想いでいっぱいになっていたのだ。    そしてレーソスは、これからの「具体的な行動」について、語り始めた。 「今夜作戦を決行するのは、予定通りであるが。そこにちょっとした、変更を加えようと思う。作戦を少しでも優位に進めるための、変更をな」
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