第五章

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 レーソスが言いだした「変更点」については、まりんたちは何も聞かされていなかったので、少し戸惑っていた。だが、レーソスが「優位に進めるため」と言うのだから、それに間違いはないはずだ。そう信じて、まりんたちはレーソスの詳しい説明を待った。 「当初は、拙者の先導で抜け道を進んでいく予定だったが。迷路のように入り組んだ抜け道だけに、拙者が目的の場所まで案内することに変わりはないが、我々の先頭には、ダーナンに立ってもらう。抜け道を通り抜けあと、ダーナンの奴に、最初に柊の間に入ってもらうということだ」  それを聞いて、まりんたちは「ええ……?!」と声を上げ、顔を見合わせた。バロール直属の部下であるダーナンを、一緒に連れていくとは。しかもダーナンに「先頭に立ってもらう」とは、予想もしない「変更」だった。 「皆が驚くのも、無理はない。しかし、我々がこの少人数で目的を遂げるには、少しでも有利な方法があるなら、それを選択すべきである。策士のダーナンは、ディオン殿を間者にしたてて、こちらの情報を得ようとしていたが。まりん殿の働きによって、その目論見も失敗に終わった。この時点で、ダーナンの野望は潰えたことになる。ならば今度は、我々のために働いてもらう」  そしてレーソスは、まりんたちを引き連れ、地下の一室に捕らえてあるダーナンの元へ向かった。 「……お主のすべきことは、わかっておるな? ここで拙者たちのために働いてくれれば、新勢力側の一員として行動していたことは、不問にいたそう。拙者たちが目的を達成し、王家が復活した後に、お主が何らかの罪に問われることはないのだ。それでよいな?」  どうやらレーソスとダーナンの間で、すでに「取引」が出来上がっているらしかった。ダーナンはレーソスの言葉を受け、力なく「こくり」と頷いた。 「……ああ、こうなったらもう、他に道はないだろうな。あんたの言う通りにするよ。それが唯一、私が『生き延びる道』だろうからな……」
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