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思い出したら泣きそうになった。
そんな事をしていると3時を過ぎていた。だいぶ片付いてきたので溜まったゴミ袋を捨てに行くことにした。最初ら足がガクガクして数秒間は進めなかった。深呼吸し、気持ちを落ち着かせ1歩1歩足を進めた。
エレベーター前まで来ると聞き覚えのある笑い声、そして話し声が聞こえてきた。冬夢を馬鹿にしてきた声。侮辱してきた声。傷つけた声。聞けば恐怖と絶望を与える声。大林結華。マンションが同じで虐めてきた人達の中のリーダー的存在だ。エレ
ベーターが到着した音と結華の足音がフロアに響き渡る。冬夢は硬直した足を無理矢理動かしエレベーターへ乗り閉じるボタンを押し「早く閉まれ、早く閉まれ」と心のなかで叫んでいた。結華の走る音がだんだん近づいてきて次の瞬間閉まろうとしたドアを無理矢理こじ開けて入ってきた。冬夢は顔をできるだけ隠して目を合わせないようにした。
「あれ……アンタ……もしかして……冬夢?」
結華が不吉な笑みを浮かべ、くすくすと笑いながら尋ねてくる。
「久しぶり、元気してた?」
結華は虐めなんてなかったかのように振る舞ってくる。
冬夢は話したくなかった。だが話さずに逆らってまた……虐められたら、マンション内もまともに出られなくなる。そう思い、
「う、うん…まぁまぁ…かな…」
と小声で作り笑いをして述べた。
冬夢は父を亡くしてから負の連鎖だ。
元気なわけなかった。
1階に着くと冬夢はすぐにエレベーターを降りようとした。そのとき、持っていたゴミ袋が結華の足に当たってしまった。顔を下に向け、その場から逃げた。早く逃げなきゃと思い必死にゴミ捨て場へと向かった。
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