第一章 初姫と鬼の温羅

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第一章 初姫と鬼の温羅

京守(きょうもり)初姫(はつひ)さん、良かったら俺と付き合うてくれへんかな?」 高校に進学して一ヶ月が過ぎた日の放課後、初姫は人生で三十六度目となる、男の子からの愛の告白を受けた。 自分で言うのも何だけど、初姫はそこら辺のアイドルなんかよりずっと可愛い。 肩までのストレートの黒髪を、キラキラとなびかせて微笑む初姫は、清楚系のトップアイドルと言われている桜瀬千冬に似たビジュアルだった。 なので大抵の男の子は、初姫に一目惚れをしてしまうので、告白されるのは高校に入学してからでも、すでに五人目である。 しかも目の前のカレは、中々のイケメンだったから、初姫的には文句なしの合格だった。 「えっと……あなたのお名前は?」 「あ、池本弘之です」 「あ、あの……それじゃあ、池本くんの将来の夢は何ですか?」 「え?」 高校生になって初めて出来た片想いの女の子に、勇気を出して告白して、よもやこんな質問をされるとは思っていなかったのだろう。 相手のイケメン君は目を丸くした。
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