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「ええかな? ほんならやり方を説明するから、まずこれが弓」
「あっ、はい」
副部長に弓を手渡される。
「ほんで、これが矢」
次いで矢を手渡された瞬間。
初姫の身体が、意思と関係なく勝手に動いた。
「ちょ、アカンって」
副部長が慌てて、初姫を止めようとしたとき、勝手に弓を引いた初姫の手から、勢いよく矢が放たれる。
――ビシュッ!
空気を切り裂いて飛んだ矢が、的の図星に突き刺さった。
「嘘やん!」
副部長だけでなく、その場にいた全員が驚嘆の声をあげる。
「あんた、勝手にしたらアカンやん」
「すみません」
初姫は素直に謝った。
「まぁ、ええわ。ほな、もう一回やってみて」
矢を手渡される。
「はい」
初姫が返事をするよりも早く、また勝手に身体が動いた。
――ビシュッ!
空気を切り裂いて飛んだ矢は、最初の矢の鏃を貫いて、的に突き刺さった。
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