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シーン3 妖退治
弘之と二人で並んで校門を出る。
昨日に続いて、二日続けてのことだけど、昨日は彼氏候補で、今日は彼氏としてなのだから、初姫にとっては初めての、彼氏と一緒の下校タイムということになる。
本当なら、頭の中がハートマークで支配されているはずだったのに、今の初姫は気が重くてため息ばかりだった。
「困ったなぁ……」
「せやなぁ、まさか温羅に憑りつかれとったとはなぁ」
「はぁ……」
初姫はまたため息をつく。
「でも、妖の王に憑りつかれている割には、暴れたり悪いこととかせぇへんもんなぁ?」
「うん。今は普通にわたし。弓を構えた時には温羅が出てくるみたい」
「そうか」
「あ、体育の時も、温羅が出てきたけど」
「せやったね」
「うん」
身体を乗っ取って、悪い事をしたりしなければ、温羅に身体を支配されても、まぁ良いんだけど……。
でもそのせいで、初姫にとって、大問題が発生していた。
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