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あまりにも弓の扱いが上手過ぎたために、初姫はレギュラーに選ばれて、明日から弓道場で練習することになってしまったのである。
せっかく放課後も弘之と一緒にいたいから、始めた部活動だったのに、補欠の弘之とは練習場所が違うのだから、一緒にいることが出来ない。
これは初姫と弘之にとっては、大誤算だった。
「ちょっと、邪魔なんですけど」
後ろから歩いてきた美優が、いちゃもんをつけてくる。
「あ、ごめん」
初姫と弘之は、横によけて道を譲った。
「ちょっと弓が上手いからって、好い気にならんとってや」
美優は初姫を睨んで、通り抜ける。
「何やねんアイツ」
弘之がその背中に、文句を言った。
「まぁ、まぁ、気にせんとこ」
初姫は弘之をなだめる。
「ああ、金持ち喧嘩せずってことやんな」
「何それ?」
「それは、俺は幸せやから、揉め事で嫌な気持ちになる必要ないやんってこと」
「そうやね」
初姫は微笑んだ。
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