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学校を出て、自宅に向かって歩き始める。
「けど、京守さんに温羅が憑りついてるってことは、今は封印されてへんってことなんかな?」
「せやね。でも、今朝のお父さまの封印の儀では、いつもと変わってないって、言うてたけどね」
「ふぅーん。そっか」
「きゃぁあああああああああ」
突然女性の悲鳴が上がった。
「何やねん?」
二人が悲鳴の方を注視する。
「あっ!」
初姫は驚いた。
二十メートルほど先に、今朝見た紫色のモヤをまとった男がいて、手には包丁のようなものを持っている。
その男の足元に、若い女性が倒れていた。
ここからでも、その女性が血を流しているのが見える。
男はすぐ近くにいた年老いた男性に向かって、刃物を振り下ろすと、今度は初姫たちの方に向かって走ってきた。
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