シーン3 妖退治

6/8
前へ
/59ページ
次へ
我に返った初姫の前に、血の気の引いた真っ青な顔で、ガタガタと震えている美優の顔がある。 「菊池さん……大丈夫? ケガはない?」 初姫は美優の肩に手をかけた。 「ぅぅぅぅううわぁあああああああああああああ」 美優は初姫に抱き着いて震える。 「もう、大丈夫……。大丈夫やから」 美優の背中を抱きしめた初姫の下に、弘之が帰って来た。 「京守さんこそ大丈夫か?」 「うん。わたしは大丈夫」 初姫は美優が落ち着くまで、ずっと抱きしめてやっていた。 遠くからパトカーのサイレンと、救急車のサイレンが近づいて来る。 「きみ凄いね」 一人の野次馬が、スマートフォンのカメラを初姫に向けながら、話しかけて来た。 「おい、勝手に撮るんじゃねぇよ」 弘之が文句を言ったけど、いつの間にか、初姫を撮影する者たちに囲まれてしまっていた。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加