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我に返った初姫の前に、血の気の引いた真っ青な顔で、ガタガタと震えている美優の顔がある。
「菊池さん……大丈夫? ケガはない?」
初姫は美優の肩に手をかけた。
「ぅぅぅぅううわぁあああああああああああああ」
美優は初姫に抱き着いて震える。
「もう、大丈夫……。大丈夫やから」
美優の背中を抱きしめた初姫の下に、弘之が帰って来た。
「京守さんこそ大丈夫か?」
「うん。わたしは大丈夫」
初姫は美優が落ち着くまで、ずっと抱きしめてやっていた。
遠くからパトカーのサイレンと、救急車のサイレンが近づいて来る。
「きみ凄いね」
一人の野次馬が、スマートフォンのカメラを初姫に向けながら、話しかけて来た。
「おい、勝手に撮るんじゃねぇよ」
弘之が文句を言ったけど、いつの間にか、初姫を撮影する者たちに囲まれてしまっていた。
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