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スマートフォンのカメラの性能が上がり、一億総カメラマンと言われている時代である。
初姫が暴漢を取り押さえるシーンが、その日の夜の全国ネットのニュースで流され、暴漢を取り押さえる美少女女子高生として、初姫は一躍時の人となってしまった。
「まったく困ったことをしてくれたのぉ」
重充がため息を吐く。
「ごめんなさい」
「京守家は代々、温羅の封印を守るために、一般の者たちから目立たぬように生きてきたというのに……」
「反省してます」
初姫は謝ることしか出来なかった。
「とにかく宮内庁に報告をして、マスコミに圧力をかけてもらうしかあるまい」
重充は電話をかける為に、席を外した。
お祖父さまの言うことは分かる。
でも……すでに縛妖堂の中で封印されているのは、温羅の身体だけで、温羅の精神はわたしの中にあるのだから、封印自体が意味がなくなってしまっていると思うのだけど……。
初姫はお祖父さまの背中を見送りながらそう思った。
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