わたしのきもち

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 犬小屋で眠っていた我が家の愛犬、柴犬のココアが私に気付き、尻尾を振って近付いて来た。  実家を離れて二年、その間ほとんど帰省も出来ていなかったというのに、ココアは一年前、帰って来た私に、実家にいたときと変わらず尻尾を振って駆け寄った。  私はしゃがんで、ココアに目を合わせる。 「ココア、私ね、彼の所に行ってくるよ。今日こそ。頑張って来る」  小声で囁くと、ココアは目をきらきらさせて私を見つめたまま、首を少し傾げた。 「だから、応援しててね。行ってきます」  ココアは少し悲しそうな顔をして「くうーん」と鳴いた。 「そんな顔しないで。行きたくなくなっちゃうでしょ」  私は思わず泣きそうになった。唇をきゅっと結んでもう一度決心し直し、ココアにもう一度「ありがとうココア。愛してるよ」と言った。それからはもう、振り返ることなくずんずんと実家から離れた。後ろからココアの「くうーん」がもう一度聞こえたけれど、聞こえなかったふりをした。
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