わたしのきもち

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 それから、彼の朗らかでおおらかな気性はこの広い大地で育まれたものなんだと妙に納得した。  彼と私は根本が違っていた。  自分に自信がなくていつも背中を丸めていた私と、細かいことは気にせず、のんびりと笑っている彼。  彼は決して目立ちたがりなわけではなかったから、サークルの中でもあんまり人気がなかった。私はその人気のなさに胸を撫でおろし、とはいえ自分の気持ちを伝える勇気もないまま、大学を卒業した。  飛行機の座席も、満席とは程遠かった。  人の少ない時間帯でもあるし、何もない平日の真ん中だから仕方ないのかな、と航空会社の収益を少しだけ気にして、そんな事私が気にしても仕方ないか、と思った。  私はいつもこういう細かくてどうでも良いようなことばかり気になってしまう。  あるとき私がふと「焼き芋屋さんて、どうやって始めるんだろう」と真剣に考えたことがあった。あの設備は一体幾らするのか、芋はどこで仕入れるのか。もし仮に市場に仕入れに行くとして、どれくらいの頻度で、どれだけの量を仕入れるのだろうか。あの設備で一番美味しく焼ける芋を決めるのに、何度試食を重ねるのだろう。
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