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それから一年後、長い受験生活を終えて、光は東京の大学へ進学した。
けれど、私は地元の大学。
離れるのが辛くて散々泣いて光を困らせた私だったけど、会えない日々が1週間、1ヶ月と続くに連れて、次第に会えないことに慣れていった。
そうして、4ヶ月が過ぎ、夏休みに帰省した光とようやく再会し、私たちは、何度もデートを重ねる。
けれど、お互い、どこか以前とは違うものを感じていたように思う。
それでも、とあるデートの帰り、まるでクリスマスのようなイルミネーションの輝く建物の前で、
「奈南、いいだろ?」
と、光に尋ねられると、私は、不安でいっぱいになりながらも、目を伏せて光の腕にギュッと抱きついた。
その夜、私たちは、大人への階段を一段上った。
それから、光は、会うたびに私を求めるようになった。
当然、学生にふんだん使えるお小遣いなどあるはずもなく、真っ昼間、家族が仕事で出払った彼の部屋が多かったけれど。
毎回、デートが彼の部屋になると、少し不安になってくる。
光は、私が好きで私に逢いたいのかな?
それとも、単に体目当て?
それでも、光が好きだから嫌とも言えず、私たちは昼間、快楽に溺れ、夜、アルバイトをする生活を続けた。
そうして、秋になり、光はまた、東京へと戻っていった。
光に会えない日々。
毎日だった電話が、アルバイトの時間もあり、2日に一度になり、3日に一度になり、週に一度になった。
光は、私に会えなくても寂しくないのかな。
そんな不安が胸をよぎる中、私は大学の先輩から告白された。
当然、断ったけれど、簡単には諦めてくれなくて、何度も食事やデートに誘われる。
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