後編 ★ サンタさん、遅い!

6/8
前へ
/17ページ
次へ
 えーー!? そういうフェチさん!?  そんなところを気に入ってもらっただなんて、ルカは逆に複雑な思い。  太もものミニスカサンタが、トドメだなんて。それ以外の私なんてどうでもよくて、その太ももだけで三年?? 頭が混乱してくる。 「えっとその、私ってその太ももだけなんですよね?」 「違う!」  彼がバンとテーブルを叩いたので、ルカはのけぞる。 「何年、週3回、毎回毎回、店で働くおまえを見てきたと思っているんだ。小さな身体でころころ働くおまえを見ているのが癒しだったよ。疲れている俺の顔に気がついてくれるのもおまえだったし。ただ、どうしても仕事以上に踏み込めなかっただけで」  そしてまた、彼がうつむいてぼそっと言った。 「あのミニスカサンタで、絶対誘うって決めた」 「そ、そうだったんですか……」  としか、今はいえない。  だってルカもまさかの告白に頭真っ白。 「おまえがミニスカサンタをさせられて傷ついていたから。なんとかしてあげようと思って。この店に連れてくるから、カノジョのためだけに料理をしてくれとアイツに頼んだ」  でも。誘えなかった。  と彼が言う。 「去年も。今度こそ誘うと、この店も準備して待っていてくれた。でも、おまえが友達に電話して約束しているのをスタッフルームで聞いてしまってできなかった」  そして今年――。 「だから、今年が三年目。やっとおまえを連れてこられた。バカみたいだろ。三年も。おまえのこと、週に三回も顔を合わせているのに、クリスマスにならないと、俺もふっきれなかったんだ。クリスマスでも迷ってばかりだった」  憧れていた彼がネクタイを緩めながら、照れくさそうに言った。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

504人が本棚に入れています
本棚に追加