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琉花は、今年もひとりクリスマス。
少し前にカレシができた。
一週間前に『もう会わない』のメールが届いて破局した。
たった一ヶ月のつきあい。えっちもしなかった。
いいの、いいの。
冬のイベント前に、独りでいたくない者同士、友人と友人の紹介でなんとなくくっついただけだから。
違和感だらけで、ノリも悪くて、会話も続かない。
ぜんぜんドキドキしなかった。
ムリにクリスマスイブを過ごして、なんとなくえっちをしたって、25日になったら、もう用はないんだよ。
何ヶ月も前からあんなにどきどきして待っていたケーキも、甘酸っぱい苺も、変な味になっていくし。
だから、食べる前に食べられなくなって良かったじゃん。良かったじゃん……。
なかなか思うような男性に出会えない。
好きな人はいたんだけど……。
だいぶ前にあきらめた。
気になって好きになって、会う度にときめいているだけなのが苦しくて。あきらめた。
その人は仕事ばかりで、『恋』なんて見向きもしないから。
よし。そうなったらとことん働こう。
クリスマスは稼ぎ時! そして働き時、ルカの場合は。
地下鉄にJR、JRタワー。数々の百貨店がひしめき合う北の都市。
駅の地下街にはたくさんのショップがずらっと整列する。
その中の一店舗、ベーカリーショップ。
ルカはパン屋の売り子。ホールスタッフ。
老舗パン屋。郊外に古い本店があって、市内に五店舗。
社長の念願かなって、駅地下に店舗を出すことができた。
昼時になると、ビジネスマンにOLさんに、ショッピングにきた主婦で店内はごったがえす。レジにも長蛇の列ができる。
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