会いたくて

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会いたくて

今朝は電車が大幅に遅れた。フレックスだから別にいいんだけど。 ああ…喫煙所の君には会えないな。 そう諦めてたのに…なぜか、いたんだ。 「よぉ、今日は遅かったのな」 「はい…電車が遅れてて、あなたもですか?」 「いや…あんたを待ってた。後5分待って来なければ戻ろうを6回繰り返した」 5分×6回=30分 「え…30分も?すいません…でもなぜ?」 「ふ…なぜだろうな?会いたくて…」 「へ?俺にですか?」 「あんた以外に誰もいないだろ、可愛い子ちゃん?」 「じゃ、会えたから行くわ。またな」 意味がわからない、俺に会いたかった? まぁ、俺もだけどさ。 それから俺たちは、顔を見るまでどっちかが待つ…を繰り返すようになった。 「よぉ…」 「どうも…」 会話はこれだけ、ホントに顔を見るだけの時もある。 「なぁ、あんた明日は…」 「俺は週末は休みですよ?来週まで会えませんね…」 「…明日…外で会えねぇかな…」 「え…えっと…夜なら…」 「いいよ、電話すっから番号…」 彼はぶっきらぼうに自分の携帯に番号を表示させ俺に渡した。 俺はそれを受け取り、自分の携帯に登録する。 「あの…名前、教えてください」 「ショウゴ」 俺はショウゴさんの携帯にワンコールする。 「あんたは?名前」 「リツ」 「ふ…じゃあな、また。リツ」 な…名前呼び…ってか今時limeやメールじゃないなんて…古風?いや…携帯が最新機種だった… 明日は美香とデートだが、早めに解散して一度家に帰ってシャワーして着替えて…って女子かっつーの。 別に男同士、飯食って飲むだけだろ?着替えはともかくシャワーってなんだよ。 そもそもなんで、俺の中でショウゴさんの方が優先順位が高いんだ? 美香とは久しぶりのデートなのに。
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