16人が本棚に入れています
本棚に追加
会いたくて
今朝は電車が大幅に遅れた。フレックスだから別にいいんだけど。
ああ…喫煙所の君には会えないな。
そう諦めてたのに…なぜか、いたんだ。
「よぉ、今日は遅かったのな」
「はい…電車が遅れてて、あなたもですか?」
「いや…あんたを待ってた。後5分待って来なければ戻ろうを6回繰り返した」
5分×6回=30分
「え…30分も?すいません…でもなぜ?」
「ふ…なぜだろうな?会いたくて…」
「へ?俺にですか?」
「あんた以外に誰もいないだろ、可愛い子ちゃん?」
「じゃ、会えたから行くわ。またな」
意味がわからない、俺に会いたかった?
まぁ、俺もだけどさ。
それから俺たちは、顔を見るまでどっちかが待つ…を繰り返すようになった。
「よぉ…」
「どうも…」
会話はこれだけ、ホントに顔を見るだけの時もある。
「なぁ、あんた明日は…」
「俺は週末は休みですよ?来週まで会えませんね…」
「…明日…外で会えねぇかな…」
「え…えっと…夜なら…」
「いいよ、電話すっから番号…」
彼はぶっきらぼうに自分の携帯に番号を表示させ俺に渡した。
俺はそれを受け取り、自分の携帯に登録する。
「あの…名前、教えてください」
「ショウゴ」
俺はショウゴさんの携帯にワンコールする。
「あんたは?名前」
「リツ」
「ふ…じゃあな、また。リツ」
な…名前呼び…ってか今時limeやメールじゃないなんて…古風?いや…携帯が最新機種だった…
明日は美香とデートだが、早めに解散して一度家に帰ってシャワーして着替えて…って女子かっつーの。
別に男同士、飯食って飲むだけだろ?着替えはともかくシャワーってなんだよ。
そもそもなんで、俺の中でショウゴさんの方が優先順位が高いんだ?
美香とは久しぶりのデートなのに。
最初のコメントを投稿しよう!