キスしてみたい

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「ん?リツ…どうした?真っ赤な顔して…俺の色気に充てられたか?」 「そうみたい…」 「…リツ…天然小悪魔か…ちょっと来い」 俺はショウゴさんに手を引かれ、デパートのトイレの個室に連れ込まれた。 「は…ショウゴさん。俺になんかした?」 「なんもしてねぇよ。リツ…あんたが勝手に俺に奪われたんだろ?」 「え…」 目と目が合う、この距離はキスの合図。 「俺とじゃイヤか?」 俺は首を横に振る。 イヤじゃない。むしろして欲しい… 俺はそのまま、ショウゴさんの首に腕を回しつま先立ちになり目を閉じた。 ちゅ…ちゅ… 角度を変えながら、何度も啄まれる。 気持ちいい。柔くてあったかくて、甘い。 「はぁ…ヤベェ。リツ…止まんなくなる」 「ん…ショウゴさん、もっと欲しい」 「待てリツ…ここじゃこれ以上はまずい」 ふと正気に戻る…俺、何を… 「ごめん…ショウゴさん…」 「俺こそ、大人気ねぇ…落ち着いたら飯だ」 「うん…」 俺たちは言葉少なに、ショウゴさんが予約を入れてくれてたイタリアンへ向かう。 カジュアルな店なので男二人でも問題ない店だ。一応ジャケット選んで着て良かった。 「リツ…悪かったな。彼女いるって言ってたのに…」 「俺こそ…でもイヤじゃなかったし、むしろもっと…」 言いかけて、口を結ぶ。 「ショウゴさんは…ゲイ?」 「わからねぇ、女しか知らないし男に欲情したのはリツだけだ」 「俺も一緒…何でだろ…」 「さあな…何かが引っ張りあったんだ」 「赤い糸…」 「くっくっ、リツ…可愛いな…でもそうとしか考えられないな…赤い糸か…ふ…リツ…これで最後にしよう」 「え?どういう事?」 「俺たちが会うのはこれで最後だ、あの喫煙所にも行かない」 「イヤだ、なぜそんな事?」
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