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想いあって
「どうぞ…」
「お邪魔します」
香水とタバコの匂い…いつものショウゴさんの匂い…
「コーヒーでいいか?」
「ああ…はい」
リビングテーブルに湯気がふたつ立ち上る。
「悪かった…一方的に…美香の事も」
「その名前は聞きたくない…」
「あんたと会うのをやめたすぐ後、あの女が近づいてきたんだ。女と会ってればあんたの事忘れると思って…あんたの雰囲気に似てたからさ」
「寝たんですか?」
「いや…キスさえ出来なかった。あんたの顔がチラついて…結局あんたを忘れられなかった…」
「俺も…会いたくて死にそうだった…」
自然と距離が近づく。
そうこれはキスの距離。
「ショウゴさん…もう認めてよ。俺の事好きなんでしょう?」
「ふ…そうだな。もう認めるしかないな…俺はあんたが好きだ。赤い糸は本物だったんだな…」
「ん…俺もそう思う…」
抗える訳ない、こんなにもお互いに求めあってるのに。
先の事なんてわかる訳ない、例えふたりが悲しい結末になったとしても。
ふたりの唇が合わさる。
「リツ…いいのか?後悔しないか?」
「俺は後悔したっていいよ、今一緒にいたいんだ。ショウゴさんは?」
「…俺は…後悔しないだろうな。自分から欲しいと思ったのも初めてだ。ただ…」
「ただ?」
「男を好きになったのも初めてだ。まだ動揺してる」
「そんなの俺だって一緒だよ」
「女は…イヤと言うほど抱いてきたのに…あんたは…」
「抱けない?」
「いや…そうじゃなくて…めちゃくちゃにしてしまいそうだ。それくらい…欲情してる」
俺は恥ずかしさもあって、コーヒーを飲む。
「あ…美味しい」
「だろ?コーヒーにはこだわってる」
「ふふ、俺の中のショウゴさんがひとつ増えた」
「?」
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