第1章

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「は~い!ついでに、草凪さんの連絡先もお願いしまーす!」 「あの、連絡先は以前にお断りしたはずかと」 「でも、知りたいんです、草凪さんの連絡先!もっと会いたいんです!」 「それはありがとうございます。それではいつでもお店にいらしてくださいね。お待ちしてますから」 「は~い」 正直な話、スマホの連絡帳に男性の連絡先なんてほとんど入っていない。 なぜかみんなわたしには教えてくれないのだ。 だから、家族や仕事関係の人や友人を通じて勝手に登録した人の連絡先しか男性は入ってない。 「ねえ、美子。聞いた?お待ちしてますだって」 「……それはお客さんとして、ってことね」 「なかなか連絡教えてくれないところもクールで素敵!いつになったら教えてくれるのかなあ」 「あんたって本当ポジティブというか。ポジティブを通り越してバカなのかもしれないわね」 「バカって……失礼な」 「あのね、親切で言わせてもらうけど、たぶん草凪さん彼女いると思うわよ」 草凪さんに彼女がいる。 このことは何度も美子から聞かされている。
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