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昼休みから戻り、午後の業務にあたるのだけれど。
さっきまでの浮かれていたわたしを一切封印して、仕事中は真面目なキャラを突き通している。
「佐原さん、これ打ち込んでおいてくれる?」
「あ、はい。分かりました」
わたしと美子は教科書会社の事務をしている。
だから、わたしが恋多き女だということも、恋愛経験ゼロだということも職場の人たちは美子を除いていないだろう。
「あ、そうそう。教科書申請でウチの教科書選んでくれた学校多かったみたいよ。それも真淵が営業回ったところばかりだって」
「へえ、さすがね」
「本当、興味なさそうね。社内一のイケメンなのに。一度も好きになってないなんて」
確かに、美子の言うように一度も彼のことは好きになっていない。
かっこいいとは思うけれど、好きだとは思わなかった。
それに、わたしが好きになるタイプとは少し違うのだ、彼は。
わたしがいつも好きになるのは、見た目はかっこいいのだけれど、どこか陰のある人。
ドラマでいうと、ヒーローとライバルになるような感じの男性がいつもタイプなのだ。
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