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「これ、お願いできますか?」
「あ、北川さん。この前の出張のですね。領収書は全部揃ってますか?」
「はい、一応確認お願いします」
「分かりました。お預かりしますね」
美子に出張の報告書を渡したのは真淵に次ぐ営業No.2の北川さん。
彼はわたしたちより2つ上の先輩で、わたしのタイプど真ん中のイケメンなのだ。
だから、数か月前までわたしは彼に片想いをしていた。
仕事が終わると彼を待ち伏せして、食事に誘ったり手作りのお弁当を持って来たりと。
アピールした数は数え切れないほど。
ぐいぐい行ったわたしも悪かったのだけれど、好きになるとその人しか見えなくなるわたしは彼が迷惑していることにも気づかず、一直線に突き進んでしまった。
その結果……
「ごめん、君みたいにぐいぐい来られるのはちょっと……。俺、おとなしい感じの子がタイプなんだ」
そう振られてしまった。
「あの!北川さん!」
「じゃあ、よろしくね。不備とかあったらまた連絡ちょうだい」
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