6章. Flashback

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〜警視庁特別対策本部〜 紗夜の指名手配から、富士本はマスコミと警視庁の板挟みで動けず、咲や昴達も身内の捜索となるため、捜査から外されていた。 「咲さん、練馬署の無線です」 昴が流す。 「練馬区石神位公園で、手配中の車を発見し、宮本紗夜を確認。直後、何者かが妨害し、宮本紗夜を拉致して都心方面へ逃走。車はシルバーのセダンで、車種とナンバーは確認できず。引き続き…」 「なんで紗夜の車が知られてるのよ?」 「紗夜さんは瑞樹の家にいたから、使ったのは瑞樹の車ね。彼の車マニアぶりはすごいわよ〜盗難対策の位置情報システムくらい、あってもおかしくないわ」 「つまり、通報者は本間瑞樹ですね」 「もしかして!」 咲が電話を掛けた。 「もしもし神、紗夜を見つけたの?」 「いや、まだだ。どうかしたか?」 「練馬署の警官が、紗夜を見つけたんだけど、何者かに連れ去られたと。てっきり神達かと思って」 「連れ去られた?チッ!誰なんだ」 「ラブさんから通信、スピーカーにします」 昴が切り替える。 「ラブです。今、本間瑞樹の邸宅にいます。屋敷にいたマリアさんに確認したところ、車が3台無くて、車に装備された位置情報システムから、2台はわかりました。1台は練馬で、紗夜さんが乗ってたものね。あと1台は恐らく千尋さんで、六本木よ。神に千尋さんの写真を送って、犯行を止めて❗️瑞樹もそこにいるはず」 「ラブさん、紗夜が…」 「紗夜さんは大丈夫、私に任せて!」 「神、聞こえた?」 「ああ、了解だ」 「神。…ありがとう」 「らしくねぇぜ、咲。…でも…愛してるぜ❗️」 「ば、バカ💦💦何言ってんのよ💦」 慌てて電話を切り、真っ赤になる咲ちゃん。 「おっと、まずいタイミングか?」 奥から豊川達が降りて来た。 「な、何よ今更」 「咲さんにいいもん見せてもらったからよ💦、ちょっとお礼にと思ってな」 鑑識部と科学捜査部の部下、全員がいた。 「まさか、ヤクザに任せて、黙って見てるつもりじゃねぇだろ?」 「えっ?」 「怒鳴られっぱなしじゃ、カッコ悪くてな、表の連中と、監視してる警視庁の奴らは任せろ」 「そんなことしたら…豊川さんも」 「急げ、いくぜ❗️」 豊川を筆頭に、部下達が監視していた警視庁の警官を押さえ込み、表の報道陣をかき分けた。 開いた路を、咲と戸澤、昴の2台の車が飛び出して行く。 その状況を、アイからの通信で知るラブ。 (さすが、やるじゃない) 「凛、ティーク、絶対に爆破を阻止して❗️」 「了解」「收到(りょうかい)!」 既にサイレンサー付きの狙撃用ライフルを構え、ビルの屋上で位置についていた。 「神さん、咲さん達が向かったから、淳一さん連れて、こっちへ来てくれる。場所を送るわ」 携帯に目的地が届く。 「マジか⁉️」 「どうかしやしたか、神さん」 ドライバーの原田が問う。 「行き先変更だ」 画面を見せる神。 「マジっすか⁉️」 即座に電話をかける。 「近藤、咲達も向かってる。そっちは任せたぜ、くれぐれも発砲や大きな音を立てるな!」 「了解です、任せてください」 時々、ヤクザであることを、忘れそうに感じる神達であった。 男が電話を掛けた。 集中する紗夜。 「私だ」 (えっ?) 「獲物は捕獲しました。念のため、こっちへ来てもらえませんか。警察が多すぎてね」 「分かった。今から向かう」 (まさか…) 「今のは誰なの?」 「紗夜刑事。会えば分かりますよ」 軽く微笑む。 (全く、私としたことが…笑えるな) 一瞬で上級のヤクザとは分かった。 しかし、冷ややかな表情ではあるが、悪意は微塵も感じられなかったのである。
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