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〜警視庁特別対策本部〜
紗夜の指名手配から、富士本はマスコミと警視庁の板挟みで動けず、咲や昴達も身内の捜索となるため、捜査から外されていた。
「咲さん、練馬署の無線です」
昴が流す。
「練馬区石神位公園で、手配中の車を発見し、宮本紗夜を確認。直後、何者かが妨害し、宮本紗夜を拉致して都心方面へ逃走。車はシルバーのセダンで、車種とナンバーは確認できず。引き続き…」
「なんで紗夜の車が知られてるのよ?」
「紗夜さんは瑞樹の家にいたから、使ったのは瑞樹の車ね。彼の車マニアぶりはすごいわよ〜盗難対策の位置情報システムくらい、あってもおかしくないわ」
「つまり、通報者は本間瑞樹ですね」
「もしかして!」
咲が電話を掛けた。
「もしもし神、紗夜を見つけたの?」
「いや、まだだ。どうかしたか?」
「練馬署の警官が、紗夜を見つけたんだけど、何者かに連れ去られたと。てっきり神達かと思って」
「連れ去られた?チッ!誰なんだ」
「ラブさんから通信、スピーカーにします」
昴が切り替える。
「ラブです。今、本間瑞樹の邸宅にいます。屋敷にいたマリアさんに確認したところ、車が3台無くて、車に装備された位置情報システムから、2台はわかりました。1台は練馬で、紗夜さんが乗ってたものね。あと1台は恐らく千尋さんで、六本木よ。神に千尋さんの写真を送って、犯行を止めて❗️瑞樹もそこにいるはず」
「ラブさん、紗夜が…」
「紗夜さんは大丈夫、私に任せて!」
「神、聞こえた?」
「ああ、了解だ」
「神。…ありがとう」
「らしくねぇぜ、咲。…でも…愛してるぜ❗️」
「ば、バカ💦💦何言ってんのよ💦」
慌てて電話を切り、真っ赤になる咲ちゃん。
「おっと、まずいタイミングか?」
奥から豊川達が降りて来た。
「な、何よ今更」
「咲さんにいいもん見せてもらったからよ💦、ちょっとお礼にと思ってな」
鑑識部と科学捜査部の部下、全員がいた。
「まさか、ヤクザに任せて、黙って見てるつもりじゃねぇだろ?」
「えっ?」
「怒鳴られっぱなしじゃ、カッコ悪くてな、表の連中と、監視してる警視庁の奴らは任せろ」
「そんなことしたら…豊川さんも」
「急げ、いくぜ❗️」
豊川を筆頭に、部下達が監視していた警視庁の警官を押さえ込み、表の報道陣をかき分けた。
開いた路を、咲と戸澤、昴の2台の車が飛び出して行く。
その状況を、アイからの通信で知るラブ。
(さすが、やるじゃない)
「凛、ティーク、絶対に爆破を阻止して❗️」
「了解」「收到!」
既にサイレンサー付きの狙撃用ライフルを構え、ビルの屋上で位置についていた。
「神さん、咲さん達が向かったから、淳一さん連れて、こっちへ来てくれる。場所を送るわ」
携帯に目的地が届く。
「マジか⁉️」
「どうかしやしたか、神さん」
ドライバーの原田が問う。
「行き先変更だ」
画面を見せる神。
「マジっすか⁉️」
即座に電話をかける。
「近藤、咲達も向かってる。そっちは任せたぜ、くれぐれも発砲や大きな音を立てるな!」
「了解です、任せてください」
時々、ヤクザであることを、忘れそうに感じる神達であった。
男が電話を掛けた。
集中する紗夜。
「私だ」
(えっ?)
「獲物は捕獲しました。念のため、こっちへ来てもらえませんか。警察が多すぎてね」
「分かった。今から向かう」
(まさか…)
「今のは誰なの?」
「紗夜刑事。会えば分かりますよ」
軽く微笑む。
(全く、私としたことが…笑えるな)
一瞬で上級のヤクザとは分かった。
しかし、冷ややかな表情ではあるが、悪意は微塵も感じられなかったのである。
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