1章. 継続する凶行

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警視庁のネットワークで、殺害された弁護士の裁判記録を探す昴。 淳一と咲は、昴が集めた飲み屋街の監視カメラ映像で、紗夜がプロファイリングした容疑者を探していた。 「あれ?おかしいな…」 「どうした、昴?」 眠くなり掛けていた淳一が、わざと反応する。 「昨日調べた時にはあった、裁判所のデータが無いんです。それに、殺害された弁護士と判事が、最近携わった記録も全て」 「勘違いじゃねぇか?」 「確か刑事裁判だったので、結果はどうあれ、検察庁には保存されてる筈なんです」 「証拠隠滅か?」 「可能性はあるわね。公安が気付いていたなら、検察側も気付いてるはず。富士本部長、確か最高裁に知り合いがいましたよね?」 「ああ、葛田判事だが?」 「殺害された判事の案件を、問い合わせてくれない?最近の刑事裁判でいいので」 「分かった。だが忙しいやつだからな彼は」 言いながら、携帯を取り出す富士本を見届け、出て行く咲。 「どこ行くんですか、咲さん?」 「どんだけ探しても、プロファイルに合うキン肉マンが見つかんないのよね。眠くなる前に、TERRA(となり)の見晴らしいいカフェで、気晴らしでもしてくるわ」 (気づいてやがったか💧) 「す💦昴、あの映像で間違いねぇんだよな?」 「はい。CAPS(キャップス)(犯罪分析予知システム)でも、条件に合う人は見つからなかったんです」 「おいおい、あれで見たなら最初にそう言えよ!俺らの目が、あのシステムに勝てる訳ねぇだろうが」 「いえ、衝動的に殺意を抱く場合は、予知出来ません。必ず映っているはずなんです。先入観持たない様に、黙っていたんですよ」 「ん?」(淳一) 刑事課に咲が戻って来た。 スーツ姿の年配男性を連れて。 「おやおや、これは哀川さん」 富士本が直ぐに挨拶に来る。 「部長はご存知だったんですか?」 「はい。富士本さんとは長い付き合いです。今日は、年末のご挨拶兼ねて、先日派遣した部下の様子を伺いに来ました」 「確か、鑑識部の新しい取り組みでしたね。一つ上でして、あの奥の階段から行けますので」 「ありがとうございます。分かりました。今後ともよろしくお願いします。綺麗でお優しい部下がいて羨ましい。咲刑事、忙しいでしょうから、ここで結構ですよ。では失礼します」 にこやかな笑顔で、奥へと向かう。 「綺麗で、なになに、お優しい?」 「うるさい❗️」 茶化す淳一を睨む咲。 「彼は翼工業の社長さんだよ」 「翼工業って、唯一の国産ヘリコプター製造メーカーですよね?」 さすが物知り昴。 「警察、消防、病院などのヘリコプターは、ほとんど彼の会社製だよ」 「それが何で鑑識部へ行くのよ?」 「知らないんですか咲さん?翼工業のドローン技術は世界一で、国内トップメーカーですよ」 「だから、それがどうしてって⁉️」 「咲、お💦落ち着きなさい」 ただでさえ、慣れない映像調査で、『キン肉マンを探せ』にイラついていた咲であった。 「数ヶ月前から、鑑識部でドローンを使って捜査する取り組みが始まっててね」 「ドローンで捜査…か。何かの映画で見たような気もするわね」 「例えば、立て篭り事件など、近づけない所や、危ない場所の観察に使うんですよ。確か、東京メトロでも導入してて、トンネルや橋などの点検にも、わざわざ足場を組んで人が見なくてもいい方法として、広がってるんです」 「なる程…」 豊川+ドローンを想像する咲。 (ないない💦ないわ〜💧) 「部長、そんなことより、どうでした?」 「調べて、2時間程で連絡をくれるそうだ」 それを聞きながら、再び出て行く咲。 首を振りながら。(ないわ…) 降りて来たエレベーターが開く。 「あら、咲さん!」 「何なのよ全く…💧」 再び刑事課に戻って来た咲。 隣に、トーイ・ラブを連れて。
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