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〜警視庁特別対策本部〜
咲がラブを連れて入って来た。
「ラブさん❣️」
「語尾に変なマーク付けてんじゃないわよ❗️」
(失礼しました💦)
「咲さん、隣に行くんじゃ?」
「行けたらとっくに行ってるわ!全く、次から次へと現れて…次はきっと豊川さんか、ヴェロニカがエレベーターから出てくるシナリオでしょ❗️」
「残念でした〜私はもういるわよ」
モニターの一つに、ヴェロニカがいた。
「咲さん悪ぃ、俺もいるんだが…エレベーターから出直すか?」
奥の階段から、豊川が降りて来ていた。
「も〜いい!来たからには何かあるんでしょ、どうぞどうぞ、聞いてあげようじゃないの!」
開き直って腰掛ける咲。
「豊川さん、さっき哀川社長が…」
「富士本さん、俺にはドローンだかドロンジョだかしらねぇが、無理だ。頭痛くなる」
(ドロンジョ出てくる方が無理あるし💧)
「お願い❗️もうこれ以上ややこしくしないで」
「そ…そうね、じゃあヴェロニカ、報告を」
読心能力のあるラブには、咲のぐちゃぐちゃな心理が分かった💦
「昴ちゃん、これが監視衛星が映した、昨夜の栄ビルの映像よ。4分の1の再生速度で」
モニターに、上空からのビルが映る。
が、何も見えないまま、爆炎が吹き出した。
「今回は晴れてたから、期待したんだけど…」
「昴ちゃん、TERRAを甘く見ないでヨン!」
画面の色が変わる。
「夜間用の赤外線モードに、熱源感知システムを加えてみると…」
「あっ、今何か細い光が走りました!」
「外から撃ち込まれたのか?」
「ちょっと違うわね淳ちゃん。それよりは遅いもの。大きさは掌サイズくらいで、爆弾を搭載して、あのスピードで考えられるのはただ一つ」
「ドローン❗️」
「おいおい、逃げて来た意味ねぇじゃねぇか」
「豊川さん、哀川社長を呼んでください」
ラブに言われて、渋々奥へと行く豊川。
「アイ、爆破現場の解析写真をお願い」
TERRAのマザーシステムAIが、4枚の写真をモニターに映す。
「この写真に映る物質の、光の波長を解析し、強さ別に色付けすると、こうなります」
4枚の写真が複数の色で、鮮やかに染まる。
「多く見られる色は、壁や天井、床などの素材です。アイ、外して」
埋め尽くしていた色がなくなると、いくつかの点在する色に変わった。
「この中に、あるはずのない色があるの」
全員が画面に目を凝らす。
「アイ、例の色にマーキングを」
4枚の写真に、ポツポツとマークが付いた。
「これらは、窓ガラスの成分です」
「なるほどね、爆発して砕け散った窓ガラスが、部屋の中にあるのはおかしいわね」
「咲ちゃん大正解❗️」
「ちゃん呼びするな〜ッ❗️」
「つまり、昨日と同様に、爆弾は中にあったのではなく、外からドローンで、窓を割って入れられたということですね」
「チェッ!だから搬入経路を必死で探っても、わからなかったってわけか」
淳一は、出入りした者や、届けられたものを必死で捜査したのであった。
そこへ、豊川が哀川社長を連れて来た。
アイが直ぐにモニターの画面を消す。
「哀川さん、トーイ・ラブです」
「おぉ、あのラブさんですか❣️」
(全くどいつもこいつも!)(咲💢)
(…つい💦)
「哀川さん、掌サイズのドローンを製作したことはありますか?」
「はい?」
予想もしない大スターからの問いに耳を疑う。
「て、掌サイズですか…確かに一度製作はしたものの、操縦が大変難しく、サンプル程度で商品化には至りませんでした」
「サンプルを提示したリストは…?」
「まだ残っているか…調べてはみますが」
サッ!と、哀川の手を、両手で握るラブ。
顔が近い💧
「✨何とかリストをお願いします✨」
ラブのお願いを断れる者はいない。
赤面する55歳💦
「分かりました、直ぐに連絡します」
「連絡先は哀川さんの携帯に送りました」
ラブがアイに命じて、送信していた。
「社長!」
奥から声がした。
「今日の予定は済んだので、私も帰ります」
北川亮介45。
翼工業の社員で、ドローンの教育者。
「そうか、なら私の車で。では皆さん、これで失礼します。ラブさん、後ほど」
「よろしくお願いします」
深くお辞儀をするラブ。
その目が一瞬細まる。
(この人は…)
出て行く2人を、笑顔で見送る。
(昴さん、よろしく)
昴はラブの血を輸血した過去があり、ラブの能力を幾らか受け継いでいた。
(調べてみます)
「豊川さんどうかね、彼は?」
「北川さんか?真面目で親切ですよ。ただ、あの歳で酒を一滴も飲めねぇのがいけねぇ」
「飲まない人もいるのよ」
ラブが富士本を横目で見る。
富士本が軽く頷いた。
(やはりそうなのね)
警察と付き合いの長い翼工業は、出所者の自立支援提携を結んでおり、富士本の反応は、北川もその内の1人ということを意味していた。
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