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帰ろうとする豊川を、咲が呼び止めた。
「それで、豊川さんの話しは何?」
「…忘れてるかと思ってたが、さすが咲さん。大したことじゃないから」
その疑念を読み取るラブ。
「今は一つでも手掛かりが欲しい時。豊川さん、話して下さい」
渋々座る豊川。
「…笑うなよ。例の連続撲殺殺人の犯人なんだが…。もしかして…例えば…女性…ってことはねぇよな?」
「………」
「アッハハ!ないでしょ!」
「だから、笑うなって💦」
「一人目なんて、顔ぐらいの石が、両肺と心臓潰して、モルタルの壁にめり込んでたのよ?男性でもかなりの力持ち、普通に考えて、女性じゃ無理でしょ!ねぇラブさん」
「…えっ…私…は、出来るかも💧」
「あっそうだったわ。ラブさんは特別ね💦」
「豊川さん、そう考えたのには理由があるのよね?教えてください」
「それなんだが…全ての現場に、女性の毛髪が落ちていたのが気になってな」
「たまたまでしょ?髪の毛くらい」
「同じ…なのね?」
「えっ?」
ラブの言葉と、真剣な目に驚く咲。
「ああ、DNA鑑定までしたが、全て同じ女性のものだ」
「ちょっと待ってください、豊川さん。全てって、昨夜の現場にも?」
昴の脳裏に、何かを気にした、昨夜の豊川の挙動が甦る。
「そうだ。昨夜の現場にも、同じ女性の毛髪が落ちていた。偶然…じゃあねぇよな?」
「必然ね。ただ、犯人ではなく、共犯者って可能性はあり得るわね。女性が酔っ払いを誘い出して、路地裏へ連れ込み、マッチョがガン❗️」
「なるほど。今までは屈強な男1人を探していたが、ヴェロニカさんの線で、もう一度、男女2人組で探してみてくれ」
「しゃあねぇ、やるか!」
富士本の指示で、淳一がモニターに戻る。
咲も仕方なく淳一に続く。
この時、ラブは違う可能性を考えていた。
だがそれは、ビデオ映像で見つけられるものではなかった…しかし。
(アイ、事件のあった路地裏の両サイドの監視カメラ映像を、当日の午後から調べて。この犯人は、かなりの知能犯。カメラくらい当然分かっているはず。入ってから犯行時刻まで出て来ない者。対象は若い女性1人❗️)
その時、刑事課の電話が鳴った。
「はい警視庁刑事課です」
富士本が取り、スピーカーに切り替える。
「六本木第一ビルの5階辺りで爆破事件発生、連続犯の可能性あり、出動願います」
(辺り?)
気になったラブ。
立ち上がった咲の携帯が鳴る。
「早いじゃない、さすがね。ちょい待ち」
スピーカーへ繋ぐ咲。
昴が、六本木第一ビルの写真や情報を映す。
「いいわよ戸澤」
「殺された判事が、最後に無罪にしたのは、婦女暴行殺人で、容疑者は新龍会傘下の…」
「瀧川組ね」
「えっ?ああ、瀧川組の幹部組員だが…誰だ、あんた?」
「トーイ・ラブです」
「ラブって…マジか⁉️でも何で分かった?」
「ついさっき、六本木第一ビル5階辺りで爆破事件があって、その2階上が、瀧川組の事務所よ」
ビルのテナントを見ると、5階は生命保険会社で、その7階に瀧川組の名があった。
呆気に取られていた咲。
「戸澤、リストをここへ転送したら、現場へ向かって。被害者は所轄に任せて、瀧川組を逃さないで❗️」
「今回は失敗した様ね〜。ヤバい新龍会傘下の組なら、防弾ガラスくらいあるでしょ」
ヴェロニカの言う通りであった。
「ガラスを破れず、落ちて2階下の外で爆発💥したってわけだな。迷惑な奴め、全く!」
「被害者が出てなければいいですね」
「淳、現場へ行って戸澤を手伝って。あと、外に残骸がないかもお願い。昴は周辺の監視カメラを」
「T2、ヴェロニカ、監視衛星の映像で、不審な車がないか調べて」
「了〜解!ラブ、そろそろ時間よ」
ラブの仕事用電話が鳴った。
マネージャーの新咲凛である。
「ゴメン凛、今直ぐ行きます💦」
「ラブ、75スタジオだからね、急いで!」
慌てて出て行くラブ。
「そりゃ、忙しいわよね彼女」
出て行くラブに、気の毒そうに手を振る咲。
(いってらっしゃ〜い❣️)
(…ゲッ⁉️)(咲)
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