1章. 継続する凶行

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帰ろうとする豊川を、咲が呼び止めた。 「それで、豊川さんの話しは何?」 「…忘れてるかと思ってたが、さすが咲さん。大したことじゃないから」 その疑念を読み取るラブ。 「今は一つでも手掛かりが欲しい時。豊川さん、話して下さい」 渋々座る豊川。 「…笑うなよ。例の連続撲殺殺人の犯人なんだが…。もしかして…例えば…女性…ってことはねぇよな?」 「………」 「アッハハ!ないでしょ!」 「だから、笑うなって💦」 「一人目なんて、顔ぐらいの石が、両肺と心臓潰して、モルタルの壁にめり込んでたのよ?男性でもかなりの力持ち、普通に考えて、女性じゃ無理でしょ!ねぇラブさん」 「…えっ…私…は、出来るかも💧」 「あっそうだったわ。ラブさんは特別ね💦」 「豊川さん、そう考えたのには理由があるのよね?教えてください」 「それなんだが…全ての現場に、女性の毛髪が落ちていたのが気になってな」 「たまたまでしょ?髪の毛くらい」 「同じ…なのね?」 「えっ?」 ラブの言葉と、真剣な目に驚く咲。 「ああ、DNA鑑定までしたが、全て同じ女性のものだ」 「ちょっと待ってください、豊川さん。全てって、昨夜の現場にも?」 昴の脳裏に、何かを気にした、昨夜の豊川の挙動が甦る。 「そうだ。昨夜の現場にも、同じ女性の毛髪が落ちていた。偶然…じゃあねぇよな?」 「必然ね。ただ、犯人ではなく、共犯者って可能性はあり得るわね。女性が酔っ払いを誘い出して、路地裏へ連れ込み、マッチョがガン❗️」 「なるほど。今までは屈強な男1人を探していたが、ヴェロニカさんの線で、もう一度、男女2人組で探してみてくれ」 「しゃあねぇ、やるか!」 富士本の指示で、淳一がモニターに戻る。 咲も仕方なく淳一に続く。 この時、ラブは違う可能性を考えていた。 だがそれは、ビデオ映像で見つけられるものではなかった…しかし。 (アイ、事件のあった路地裏の両サイドの監視カメラ映像を、当日の午後から調べて。この犯人は、かなりの知能犯。カメラくらい当然分かっているはず。入ってから犯行時刻まで出て来ない者。対象は若い女性1人❗️) その時、刑事課の電話が鳴った。 「はい警視庁刑事課です」 富士本が取り、スピーカーに切り替える。 「六本木第一ビルの5階辺りで爆破事件発生、連続犯の可能性あり、出動願います」 (辺り?) 気になったラブ。 立ち上がった咲の携帯が鳴る。 「早いじゃない、さすがね。ちょい待ち」 スピーカーへ繋ぐ咲。 昴が、六本木第一ビルの写真や情報を映す。 「いいわよ戸澤」 「殺された判事が、最後に無罪にしたのは、婦女暴行殺人で、容疑者は新龍会傘下の…」 「瀧川組ね」 「えっ?ああ、瀧川組の幹部組員だが…誰だ、あんた?」 「トーイ・ラブです」 「ラブって…マジか⁉️でも何で分かった?」 「ついさっき、六本木第一ビル5階で爆破事件があって、その2階上が、瀧川組の事務所よ」 ビルのテナントを見ると、5階は生命保険会社で、その7階に瀧川組の名があった。 呆気に取られていた咲。 「戸澤、リストをここへ転送したら、現場へ向かって。被害者は所轄に任せて、瀧川組を逃さないで❗️」 「今回は失敗した様ね〜。ヤバい新龍会傘下の組なら、防弾ガラスくらいあるでしょ」 ヴェロニカの言う通りであった。 「ガラスを破れず、落ちて2階下の外で爆発💥したってわけだな。迷惑な奴め、全く!」 「被害者が出てなければいいですね」 「淳、現場へ行って戸澤を手伝って。あと、外に残骸がないかもお願い。昴は周辺の監視カメラを」 「T2、ヴェロニカ、監視衛星の映像で、不審な車がないか調べて」 「了〜解!ラブ、そろそろ時間よ」 ラブの仕事用電話が鳴った。 マネージャーの新咲凛である。 「ゴメン(リン)、今直ぐ行きます💦」 「ラブ、75スタジオだからね、急いで!」 慌てて出て行くラブ。 「そりゃ、忙しいわよね彼女」 出て行くラブに、気の毒そうに手を振る咲。 (いってらっしゃ〜い❣️) (…ゲッ⁉️)(咲)
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