インスタのあなたに恋をしました

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*デート* 朝起きて、デートの準備をしていると、早乙女君から連絡が来た。 「家の前で待っている」 私はすぐに家を出た。 「わざわざ家の前で待ってなくてもいいのに~」 「そう思ったんだけど、瑠衣と少しでも長くいたかったんだ」 照れながら言う早乙女君が愛おしく思えた。 「じゃあ、行こうか」 そうして手を繋ぎ、駅の方へ向かう。 「ねぇ、早乙女君、どこに行くの?」 デートに行くことだけ約束していたため、どこに行くかは聞かされていなかった。 「まずは、水族館に行くよ!」 「水族館?子供の時以来、行ったことないかも・・・」 「だろうと思った」 それから、水族館に着くまで、私たちは他愛もない話をしたり、時々早乙女君が面白い話をしたりして、二人で笑い合った。そして、水族館に着くと、どこか懐かしさに似た感情を抱いた。 「ここ、小さい時に来た水族館だ・・・」 そう私が口にすると、早乙女君は驚いたような表情を浮かべながら、 「まじで?うわぁ、こんな偶然って、あるんだね。子供の頃とはまた違った楽しみ方ができるかもね!」 「うん!」 そう言いながら、館内に入ると、大きな水槽を自由に泳ぎ回るサメもいれば、綺麗にライトアップされながら、泳ぐ熱帯魚もいた。館内をゆっくり見て回ると、私は、ある生き物の前で足を止めた。そこには、丸い水槽の中で、クラゲが色とりどりのライトに照らされながら、泳いでいた。そのクラゲたちは、まるで宝石のように、一匹一匹が光り輝いていた。思わずバッグからスマホを取り出し、写真を撮った。 「私、初めて見た。すごく綺麗だね」 と、私がクラゲに目を奪われていると、早乙女君が、私の名前を呼んだ。そして顔を向けると、早乙女君がそっと私の唇にキスをした。 「ごめん・・・我慢できなかった」 それが私のファーストキスだった。 そこから、お互い少しの恥ずかしさを抱えながら、水族館を満喫した。一緒に写真を撮ったりもした。水族館を出ると、気づけばお昼の十二時を過ぎていた。 「瑠衣、お腹すかない?」 「確かに・・・お腹すいたかも」 「何か食べたいものとかある?」 「う~ん、オムライスが食べたい!」 「じゃあ、オムライスを食べに行こう!」 そして、オムライスが美味しいことで有名なお店で食事を済ませ、ショッピングをしたりして楽しい時間を過ごした。早乙女君は、私を家まで送ってくれた。家の前に着くと、どんどん、寂しさが込み上げてくる。繋いだ手を離さないといけないのに、離したくなかった。名残惜しそうに、早乙女君が手を離そうとした瞬間、早乙女君の手を引いて、キスをした。 「今日のお礼。すっごい楽しかった。じゃあまたね」 そう言って、私は家に入った。すぐに自分の部屋に向かうと、急に恥ずかしくなった。正直、今日のデートを迎える前まで、自分の気持ちがわからなかった。早乙女君のことは、好きだ。ものすごく。だけど、この感情は偽りなんじゃないかと疑っている自分もいた。私が本当に好きなのは、流なんじゃないかと。でも、今日一日、早乙女君と過ごして、私が好きなのは早乙女君なんだと改めて気づいた。ふと、今日撮った写真を見ると、綺麗なクラゲや、二人の幸せそうな笑顔がそこにはあった。そして、この幸せな思い出を残しておきたいと思い、インスタに投稿した。
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