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「なぁに、やってんだい?」
代わりに拳を左手で受け止めてミシェルを右手でギュッと抱き抱えているジルがいた。宿印の疼きが応えているのか顔をしかめている。しかし少女には分かった。顔をしかめているのは決して痛みを堪えているだけではない。
─あ、怒ってる。─
少女はにこりと笑った。口元しか見えないためどういう感情なのかはジルには分からなかった。怒らせたかもしれない。しかしジルからすれば怒らせないことよりミシェルを守る方が重要であった。例え守ることで神経を逆撫ですることになってもー。
「何って…ムカついたから、かな。…口答えしないでよ。」
「ん。」
「………口答えぇ?この子はそんなことしないねぇ。」
「は?」
「言ってることが違っているのは、事実だろう?この子が言ったのは正論だねぇ。それにブチ切れて殴りにかかるほうが…イカれてる。」
「…私たちが、イカれてる…?そんなはずはないですよ。私たちは…いつだって自分の思う正しさを貫いてきたんですよ。」
一回り大きな少女がまた口を開いた。
やはり冷淡な声だ。もう一人の少女はクスクス笑った。
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