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「あーあ、怒らせちゃった。イルゼを怒らせちゃった〜。あははっ。」
イルゼと呼ばれた少女は貧乏ゆすりをしていた。怒っているのかはジルには分からなかったが、明らかにイライラしているのは分かった。
「怒らせたらどうなるんだい?」
「え?死んでもズタズタのボロボロにされる。かな?」
「ほう…そうかいそうかい。」
ジルは落ち着き払った声で答えた。舌なめずりをする。
「あんた達がそうするなら“私達”も本領発揮と行こうねぇ?…いけるかい?」
右手でミシェルをポンポンと叩く。ミシェルがジルを見上げる。ジルは優しく笑う。ミシェルはジルを見るといいの?と尋ねる。ジルはコクリと頷く。
「……いつでもいいよ。」
「そう来なくっちゃねぇ?」
ジルの握力が増す。少女の握った拳が軋む。少女は空いていたもう片方の手で必死になってジルの左腕を叩く。しかしびくともしない。
それもそうだ。ジルは筋肉量とスタミナが人並み外れている。持ち上げられる上限は現在二百キログラム。マラソンを三時間以内に完走する体力の持ち主。痩せている割には立派な男性を上回る運動能力。柔らかい体。歳のわりに上背がある。
そして彼女の右目は“変わっていた”。
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