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「手を離して欲しいなら、言わないと。」
そう言って左手の力を緩める。少女が手を引く。ジルが眼帯を取ったことで宿印が見える。紫色の宿印であった。
ミシェルはその宿印をボーッと眺めていた。しかしすぐに我に返るとジルの優しく置かれた右手を名残惜しく思いつつ離れる。寂しそうにしていた顔が和らいだ。笑みを浮かべていた。煽っているような笑みだった。
「怒らせたらまずいのは…イルゼちゃんだけじゃないよ?」
普段は緩い雰囲気を放ち学園でも可愛いと人気のある少女である。
しかし怒らせると─。
彼女の“本性”は─。
「私のこと怒らせたらどうなるか教えてあげる。………その人のこと気が済むまでいじめたくなるんだぁ。」
年に合わない大人びた笑み。二人は呆気に取られていた。それを聞いたジルはクスクス笑う。
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