4人が本棚に入れています
本棚に追加
二人の雰囲気が明らかに禍々しいものになっていた。一瞬にして溢れ出るほどの殺意が見えた。ジルの右目はそれを漏らすことなく捉えていた。ジルの右目は“喰われた”代わりに、“殺意”を目で見えるようになった。
二人の殺意は明らかに自身に向いているのに気付いたジルは大きなため息をつく。
「そんなに私のことが恨めしいのかい?」
「そう…かもねっ!」
語句を強めながら少女がジルに向かって突進してくる。突進してもなお、フードが取れることはなく、歯を食いしばっていることしか分からなかった。
ジルは、刀を構えることもなく空いていた左手を突き出して構える。その行動がかえって少女を苛立たせた。
「なにそれ…ムカつくんだけど。」
「あ、奇遇だね。私もムカついてたんだぁ。」
明るいようでどこか闇を抱えたような声。なにを思っているのか、考えているのか推測もできない声。
最初のコメントを投稿しよう!