#27『被選者』

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「っ……!?」 「ダメだよ。いくら気絶させたからって、油断しちゃ。」 「先輩…?!」 「ジル〜。一つ言っておくね。目に頼りすぎない方がいいよ。それが今日初めてなら、相当な疲労感が後からくるよ。」 「…なら、早く終わらせなきゃ、ですね?」 「そういうこと〜。」 「邪魔。どいて。アンタに興味なんてない。私が、私達が興味あるのはジルとホックなんだけど。」 「ごっめーん。私、退いてって言われて退くほど、素直じゃないんだ〜。あと邪魔なのはそっちじゃん。」 エファセの顔から笑顔が消える。いつも死んでいる目からは怒りが漏れ出ていた。その目が少女の気を変えた。 「もしかして…貴女…指名手配者ぁ?」 「…さぁね?」 「エファセ・マイトリー。異時空人。時空干渉の容疑でボスから指名手配されてたんだったね〜。逆らわなければ、こんなことにもならなかったのにぃ。」 「…あの腐れジジイに従うより、世界を変える方がよっぽどマシだってば。私は“あの裏切り者”とは違うから。てかさぁ…そっちの方がよっぽど非道人間じゃなぁい?」 エファセは再びにこりと笑って少女の拳を握って離さなかった。少女は、歯を食いしばる。そしてエファセの腹に向かって蹴りを入れようとする。エファセは何もしなかった。 そう、何にも。
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