自他侵食 Second Period

#26『若人よ、威嚇せよ』

「「「あぁ…虫唾が走る。」」」

男はその言葉を聞いてしばらくの間黙りこくった。三人は気付いていた。自身の発言が男の神経を逆撫でしていることを。

─せめてあの二人が学校の敷地を出れば空間魔法は好きに使える。─
─それまでは時間稼ぎをして、私達も追いつく。─
─むしろそれが最善。全員で逃げればあの二人が起きていない体で重圧を背負うことになる。─

「そうかそうか。結構結構。若いというのはいいものだ。夢を見られる。そして無茶ができる。無謀なことができる。……最高に愚かだ！」

見えない衝撃波が三人を襲う。地下室の壁に打ち付けられる。血が出るほどではないが痛いものは痛い。バートリーとアートラータは低い声で唸る。しかしシェイネだけは違った。少し顔を歪めただけで、二人よりも明らかに平気そうだ。シェイネの目が黄色く光る。