#27『被選者』

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-誰のだろう。痛いかな。痛いよね…。なに言ってんだろ。バッカみたい。- 「何が分かる。」 「ん〜?」 「アンタに何が分かる。…物心ついた頃から支配されて、訓練されて…。楽しいって何?嬉しいって?なんなの?人を虐めて、虐げて、苦しめることが私の…。あぁ…そっか。殺せばいいんだ。殺す。殺すよ。」 「あー、怒っちゃった?浅はかな解釈ありがと〜。マジで中身は子供なんだね。」 ミシェルは斧による斬撃を避けながらそう言った。イルゼは何も考えずに斧を振り回している。ミシェルがいる方向に斧を振り回している。その斬撃は至極単純なものであった。“こういう類の攻撃に慣れている”ミシェルからしたら気を抜いていても避けられる。 斧が振り下ろされる。振り下ろされた瞬間ミシェルはイルゼの手首を掴むと手前に引く。それに伴い、イルゼの体勢が崩れる。ほぼ反射的に片足を前に出し踏みとどまる。ミシェルに手首を捻られ、思わず斧から手を離す。 「あのさぁ。私言ったよね?バカに成り下がった…って。」 「さっきからバカバカバカバカうるさい。アンタにバカって言われる筋合いはない。自殺願望者?私を煽って一瞬で死のうとしてる?いいよ、首をぶった斬ってあげる。どうもアンタは気に入らない。ていうかアンタが自殺願望者なら利害の一致だね。尚更都合がいい。」 「話を聞け。」 「っ…。」 「アンタまともな脳みそ持ってるなら、バカに成り下がったって文の意味考えてみてよ?」
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