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「…何も起こらないではないか。しくじったのう?愚か者めが。大人しく捕まっていれば、幸せだったもの…を?」
男が突如首元を触りだす。バートリーが目を見張る。
─…毒物?!しかも…仕掛け毒物?!いつあんなのを作ったのよ…?─
男がよろよろとふらつきながらなんとか姿勢を保とうとしていると、シェイネはにこりと笑って言った。
「私を愚かだと言うのはご自由に。」
「ぁが…。貴様ぁ…。」
「しかし、私の友達を愚かだと言うな。テメェに何が分かる。分かってもせいぜい個体データだけのくせに。デケェ口叩いてるのはどっちだよ。」
「貴様ぁっ!」
「あぁ?」
「これだけで済むと思うなよ。」
「黙れ分身が。猿芝居もほどほどにしろ。」
「猿、芝居?分身…?あれ…って。」
「偽物ね…。高密度の魔素で構成されてる影分身…。多分ルナは最初から気付いてたんだと思うわ。」
「なるほど…。ただの魔法バカではないようだ。バカだと思っていたが、“やはり”落ち着いていてそれで…冷酷だなぁぁ?尚更手に入れたくなる。」
シェイネは返事をせず鳩尾を押さえている二人を連れて振り返りもせずに地下室を出た。男の分身は地を這って三人を追いかけていた。しかし歩く速度にはとても追いつかず地を這い続けている。
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