真相

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真相

 気が付かない方が、いいのかもしれない。  目を背けてそれで済むのならば、私だってそうしたい。  けれどもう、ここまで来てしまった。    ユタのために肉を焼く私を気にすることなく、2人は素知らぬ顔ですでにの煮付けを食べ始めている。  母が煮つけた魚は3匹。それらは母、姉、そして私の前にしか置かれなかった。  なにかが、秘密裏に進行している。このままではいつか、取り返しのつかないことになってしまう、そんな予感がする。  終わらない木曜日の子ども殺し。いつからか変わってしまった姉の態度。「先生」という謎の存在。毎週月曜日の外出。用意されなくなったユタの食事。  なにが、起こっているの。  家にいることが怖くなった。  私の知っている母と姉とは別人のような気がして、どちらかが家にいる時はユタと共にファミレスなどで時間を潰すようになった。  「最近さ、このユーチューバーにハマってて」 「へー、かっこいい。何系なの?」 「なんか世界の未解決事件とか、殺人事件をまとめて紹介する系のユーチューバーでさ」 「えー、怖。でも、そういうのって怖いけど面白いよね」 「そうなんだよ、怖いけどどんどん見ちゃうの」  隣の席に座っている女子高生2人が、食べ物に手もつけず喋っている。彼女らは声を抑えているつもりかもしれないけれど、ああいう年頃の女の子の声というものは不思議とよく通るものだ。  きらきらした見た目には似合わない、未解決事件だの殺人事件だのと物騒な話をしているが、平日の人がほとんどいないファミレスでは彼女たちの話を気にしている人はいないようだった。  ユタは背もたれにもたれかかって大人しくしている。退屈だろうに、文句一つ言わない、本当に優しい子。  長時間の滞在料として仕方なく頼んだフライドポテトをつまみながら、やることもない私は彼女たちの話に耳を澄ませた。    
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